7月27日土曜日に関西大学初等部でApple Education Community Meet upが行われ、そこでReality Composerを使ったワークショップを行いました。そのときに紹介した内容を共有したいと思います。
◆はじめに
日本でのApple Vision Pro発売日、私はApple福岡で、Apple Vision Proの使用体験をしてきました。
空間コンピューティングを体験してみて、今後も空間を生かした学びは積極的に教育に取り入れられるだろうと今まで以上に実感しました。様々なクリエイティビティをテクノロジーの使用を通して発揮していくわけですが、生徒自身がもっているXとYという2次元だけではない、Z軸の感覚を大切にしていきたいと考えています。
◆拡張現実(Augmented Reality)の特徴
現実空間にまるで本物のようにオブジェクトを配置できる拡張現実(以下、AR)は、生徒の能動的な動きを引き出すことができます。私はARを使って生徒が英語で説明する空間(人々が何らかの動作をしている)を作成し、それを英語のパフォーマンステストにおいて使用しました。生徒はiPadの画面に表示されたオブジェクトを見て、任意のオブジェクトを選び、英語で説明をするというテストでした。iPadを教室の様々な方向に向けて、オブジェクトを探し、英語で説明をしていました。
AR表現にはいくつかのメリットがあります。Appleで紹介されていたものによると次の4つです。コメントは自分で書いたものです。
・動作を活性化
iPadをもって画面にリアルに表示されるオブジェクトを様々な角度から見ようとして、生徒は能動的に動くようになります。
・抽象概念を視覚化
言葉や単なる画像では理解しづらいものをARを用いて視覚化することで、より理解しやすくなります。
・スケールと近接性
iPadの画面の中に写るものを実寸で表示することもできるし、サイズを変更して見ることもできます。また、実際に近づけないものに近づいて見ることもできるようになります。
・インタラクティブ性
iPadに写るオブジェクトをタップしてリアクションを返すようなAR表現もあります。インタラクティブに動きが現実空間の中で見ることが可能になります。
◆Reality Composer
そうしたAR表現を簡単に作り出すことができるアプリケーションがReality Composerです。このアプリケーションを使用すると、先生が授業で使用したい教材を作成したり、生徒が表現したいことをARとして表現できたりするのです。昨年のバージョンアップで、このアプリケーションのみで、現実の物体を3Dスキャンできる機能も搭載されました。
このアプリケーションには様々な3Dオブジェクトが含まれており、立方体や円柱などの基本的なオブジェクトはサイズや色、長さ、細さなども変更できます。このアプリケーションの基本的な操作方法について紹介していきました。
◆基本的操作の紹介
・図形の配置をする。
・サイズ・向き・形・視点・素材の変更
・複製・削除
・AR表示
・画像の配置
・文字の配置
・様々なオブジェクトの配置
演習1
簡単な演習として人の形を作ってもらいました。基本的な図形を組み合わせて、人の形を作ることもできるという体験をしてもらいたかったのです。
演習2
生成AIで3Dオブジェクトを作ってくれるというサイトを紹介しました。
GENIE https://lumalabs.ai/genie
Reality Composerに外部から3Dオブジェクトを取り込むことができます。そのときに使用する形式は、usdzというファイルタイプです。このGENIEというサイトで作成したオブジェクトをその usdz形式でダウンロードすることができるので、それをReality Composerに取り込むことができるのです。こうしたサービスも活用できます。
◆授業の実際
昨年、英語の授業で比較の表現を学んだ後、生徒たちがReality Composerを使って自ら空間を作成し、それを学んだばかりの比較を使って英語で表現するという活動を行いました。1つのオブジェクトを複製したり、サイズを変えたりすることができるので、自分の机の上にオブジェクトを配置して、英語で表現することが容易になります。生徒たちも自ら3D空間を作って英語で表現するという活動はとても楽しかったようでした。
◆演習:どんな授業で使えそうか
参加者のみなさんに3つのグループに分かれていただき、どんなシーンでこのアプリケーションを活用できるかをテーマにディスカッションをしてもらいました。そして、話し合った結果、作ってみたい空間を各グループで作成してもらいました。
AR表現は現実空間に様々なオブジェクトを配置できます。ということは、その空間の中に入り込むこともできるので、ARで表示しているグラフの背後に立って、グラフを説明するといったこともできます。そういった表現方法を取り入れて空間を作っているグループもありました。また、Reality Composerがオブジェクトを投影する場所として、人物の顔も選ぶことができることに着目し、語学学習に生かしてみたいというグループもありました。
Reality Composerでは、オブジェクトに動きを加えるビヘイビアーというものがありますが、今回はワークショップの時間の関係でほんの少しだけの紹介でした。
◆参考書がある
そこで、私が過去に出版した Apple Booksを紹介しました。
・Reality ComposerでAR作品を作ろう【基本編】 in Japanese
https://books.apple.com/jp/book/reality-composerで-ar作品を作ろう/id1498604916
・Reality Composerで動きのある作品づくりをやってみよう in Japanese
https://books.apple.com/jp/book/reality-composerで動きのある作品づくりをやってみよう/id6470340406
・Let’s create a work with motions by Reality Composer in English
https://books.apple.com/jp/book/lets-create-a-work-with-motions-by-reality-composer/id6470341030
◆終わりに
ワークショップには10名ほどの先生方に参加いただきましたが、とても喜んでいただくことができました。こうした空間を作るという経験や、AR表現について、「こういうことができるんだ!」という喜びの声も聞くことができました。
Reality Composerは、教師が教材を作ることにも使えるし、生徒が何かを表現したいということにも使えます。様々な可能性を秘めたアプリケーションです。生徒がもっているZ軸の感覚を生かして、空間を生かした表現は様々な教育活動でも生かすことができると思います。もし、まだこのアプリケーションを開いたことがないという人はぜひ一度試してみてください。きっと夢中になっていくことでしょう。
以上、Reality Composerを使った Apple Education Community Meet upでのワークショップの紹介でした。
日本国内にも、Reality Composerで実践を重ねているADEの仲間たちもいますし、海外の先生でも同様に取り組んでいるADE多くもいらっしゃいます。これからもReality Composerの活用が広がっていくことを期待しています!
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